桃山時代より愛用される伝統の有馬籠

お土産レポート

有馬籠の歴史

有馬籠は太閤秀吉や千利休らに茶道具として愛用されたという竹細工の籠です。有馬人形筆と並んで兵庫県の伝統工芸品に指定されている逸品で、多くの茶道家、華道家に愛される味わい深い花籠をはじめ、茶道具や竹工芸品は今なお多くの人々に愛されています。

有馬の工房に展示されている有馬籠

有馬の工房に展示されている有馬籠

室町時代から続く伝統の技 有馬人形筆」の記事でご紹介したように、有馬の工房には有馬籠有馬人形筆に関する歴史、製作工程などの詳細が現物や写真と共にわかりやすく展示されており、有馬籠への理解を深めるのに大変役に立つスポットです。

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有馬の工房

有馬籠には以下のような説明が記載されています。

有馬籠の歴史は非常に古く、桃山時代の本願寺の「顕如上人貝塚御在所日記」を見ると、1585年有馬に入湯した顕如上人は有馬土産として、秀吉の妻ねねに有馬籠を贈ったと記されています。

その後、江戸時代に入ると多くの著書や文献に紹介され、黒川道祐の「有馬地誌」また「日本山海名物図会」には、「有馬籠、細工妙を得ていろいろの竹籠を作り出す。有馬籠とて著名な名産なり、入湯の人々、買い求めて家ずとす。」などと記されています。当時は有馬の町名も籠屋町や筆屋町などに分かれていました。

また、明治の初め1873年のウィーン万国博覧会に出品し優秀賞を受賞しています。その後、有馬籠はさらに発展し1910~20年頃には、従業者が70数名にも達し、全盛期を迎えます。

しかし、第2次世界大戦により壊滅的な打撃を受け、衰微することとなりました。現在、有馬には一軒のみ、こうした伝統を脈々と受け継いでいます。

有馬の工房 展示パネルより

竹芸有馬籠くつわ

日本で唯一、有馬籠を製作しているのが竹芸有馬籠くつわです。

こちらは本店。道を挟んだ向かいには工房があり、タイミングが良ければ職人さんが有馬籠を作る様子が見学できます。

有馬籠くつわ 本店

竹芸有馬籠くつわ 本店

この日はちょうど4代目籠師である轡 昭竹斎(くつわ しょうちくさい)氏が工房にいらっしゃいました。

興味深そうに見学していたら、轡 昭竹斎氏や奥様が気さくに話しかけてくださいました。 昔は80人近くいた籠職人も今は轡 昭竹斎氏と息子さん、数年前からこの道に入ったお孫さんだけとなってしまい、親子三代で有馬籠の伝統を守っているそうです。

4代目籠師 轡 昭竹斎氏

4代目籠師 轡 昭竹斎氏

「お孫さんが継いでくれるなら安心ですね。」と私が言うと

「今はいいけど、孫の代になったらどうなっているか心配ですよ。」と奥様

今の日本全体に言えることですが、伝統工芸の後継者不足は深刻な問題ですね。

こちらは材料となる虎竹です。この他にも有馬籠の原材料竹には紋竹、矢竹、鈴竹、煤竹、真竹、猪名野笹竹、鳳尾竹等があります。

有馬籠の材料となる虎竹

有馬籠の材料となる虎竹

竹ひごを作っている様子です。固定した2本の切り出しナイフの間を通して竹を削り、竹の幅を均等に揃える作業を手際よく行っています。竹ひごの幅が均等でないと竹を編み上げた時に大きなズレとなってしまうので、経験のいる大切な作業とのことです。材料を作る段階から熟練の技が要求されるのですね。

竹の幅を均等に揃える作業

竹の幅を均等に揃える作業

戦後、多くの籠店が消えていく中この店が生き残れた理由は、茶道の裏千家、表千家との付き合いがあったからだそうです。もしそうでなければこの店も残っていなかったかもしれないとのこと。

「花籠は花の美しさを引き立てるものでないといけない。主役は花だから花が映えるように編み上げる。 籠の美しさが勝ってはいけない。」

と力強く語る言葉が印象的でした。確固たる信念と熟練の技を持ち、上質な品を作り続けてきたからこそ、今なお多くの茶道家、華道家に愛用され続けているのでしょう。

有馬の工房に展示されている有馬籠

有馬の工房に展示されている有馬籠

一時期は外国産の安価で品質の悪いものが多く売れる現実に虚しくなる時もあったそうです。しかし、最近は良いものをわかってくれる人が増えてきたとのこと。本物を求める人が増えてきたのでしょうね。TV等のメディアで有馬籠や轡 昭竹斎氏を知って来店する人も増えてきたそうです。

竹芸有馬籠くつわでは花籠や茶道具だけでなく、手が込んだ美しい籠バッグ、お弁当箱や箸、スプーンといった日用品等、昔の伝統を残しつつも、今の時代にあった新しい商品が生み出されています。

本店や太閤通りの支店では趣ある花籠や茶道具が展示販売されているほか、観光客にもおすすめのお手頃価格の日用雑貨品も多数販売されています。有馬温泉へお出かけの際はぜひ足を運んでみてください。

有馬籠くつわ 太閤通りにある支店

有馬籠くつわ 太閤通りにある支店

3代目がご存命の時は竹細工で湯呑も作っていたそうです。竹細工で湯呑が作れると初めて知り驚きました!残念なことですが、手間暇がかかりすぎるため現在では作っていないそうです。

体力的に辛く苦労する面も多々あるそうですが、籠師として誇りを持って仕事を続けておられる姿に頭が下がります。今回は籠師から直接お話を聞くことができ、とても勉強になりました。ぜひこれからも良い品を作り続けていただきたいですね。

竹芸有馬籠くつわホームページ

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